魔界の花嫁

蘭子さんの構築備忘録

【雑記】タイプ相性補完は果たして重要なのか~構築作成のヒント~

〇はじめに

私自身が長い間囚われ続けたパーティ全体でのタイプ相性補完の考え方について。

あくまでも一個人の考え方であり、筆者自身レートは2100止まりの人間なので参考になるかはわからない。

 

私はポケモンの対戦を始めてから長い間、パーティ全体でのタイプ相性補完をかなり重視する傾向にあった。

今回は、この「パーティ全体でのタイプ相性補完の重要性」について、自分なりに考えたことをまとめていこうと思う。さらに、タイプ相性補完という議題から構築作成における意識という議題へと発展させていく。上級者というより、これからポケモン初めてみますという方からレート2000目指している方には参考になるかもしれない。

 

〇本論

まず、前提として、『パーティ全体での』相性補完についての話であること。また、この議題は構築の系統によって回答が異なること。この2点に留意してもらいたい。

 

ポケモンシングルレートのルールは63見せ合いフラットと言われるルールである。この当たり前のことが案外重要であると私は考えている。このルールでは実際の対戦の場に出るポケモンは3体であり、選出されない3体は、その試合に関しては、何の役にも立たない。にもかかわらず、多くの人は、構築を組む段階で『パーティ全体での』相性補完を重要視する傾向にある。

 

何当たり前のこと言ってんだ、と思う方もいるかと思うが、試合で使うのは3匹なのに、構築段階で6匹での相性補完で頭を悩ましているのは矛盾しているのではないか、と私は思う。6枠で一貫を切った所で、選出3枠で一貫を切れていなければ、構築段階でパーティ全体でのタイプバランスを意識している意味は無い。

なので、タイプ相性補完を意識するなら、基本軸に対して残り2枠で補完しなくてはならない。もちろん3枠で完璧なタイプ相性補完を作り上げるのは難しい。

受け回しを基本とする受けループを例に取るが、受けループでよく聞くラキグライヤドランの組み合わせ。技の一貫は切りきれていないが、数値の高さ、特性などで誤魔化している。

何が言いたいかというと、選出3枠でタイプ相性補完を完璧にするのは難しいし、そもそもする必要も無い。

 

よって、選出という段階までステップアップして考察すれば、構築段階でタイプ相性補完を意識し過ぎる必要性は無い、と言えるのではないか。

 

ここで、一貫しているタイプがあれば、そのタイプをメインウェポンにしているポケモンにパーティが半壊しかねないのでは?という反論が飛んできそうである。

 

私自身、全くタイプ相性補完を意識するな、とは言わない。むしろ、主要タイプに対しては一貫を切るのが好ましいとも思っている。

パーティにフェアリータイプを入れておくだけで、相手の拘り竜の動きを大きく抑制出来る、というのはいい例である。

ただ、ここで言いたいのは、6枠で考えるのではなく、選出3枠で考えるのが重要だということ。一貫しているタイプがあったとしても、それに対する回答を選出3枠で用意していれば、特に問題にはならないのである。

わかりやすい例を挙げるならば、竜の一貫のあるパーティにパルシェンを組み込むというもの。竜技の一貫こそ切れてはいないが、物理竜を起点に、こちら側が逆に展開してしまえるため、回答は用意したことになる。更に、特殊竜への回答をメガガルーラ+@1でしてしまえば、物理竜のいるパーティにはパルシェンを、特殊竜のいるパーティにはガルーラ+@1を選出すれば済む。

あくまでも重要なのは6枠ではなく、3枠の組み合わせで考えること。当たり前なことかもしれないが、この考え方をしっかり実践に移すのは案外難しいと私は考えている。

 

 

6枠ではなく3枠で考えるという話はこの辺りまで。この話を前提に、議論を先に進めよう。

タイプ相性補完を強く意識している人たちに欠けていることが多いのが、『タイプ受けした後どうするのか』という意識である。

例として、選出段階でマンダマンムーナットという選出を用意したとしよう。初手マンダとニンフが対面してしまった際に、こちら側はナットレイでタイプ受けをしたとする。構築段階でフェアリーにはナットレイを、と考えている人は多いはず。ただ、ナットレイを投げた後どのような行動を取ってアドバンテージを取り返すかまで考えている人は少ないように感じる。

 

タイプ相性補完を意識するということは苦手なポケモンと対面したら後出しすることを前提としている。そして、ポケモンというゲームは、後出しをするという行為だけでは一切アドバンテージを取ることが出来ない(というより、後出しという行為は必ずディスアドバンテージを背負うことになる)。なので、後出しした後に如何にしてそのディスアドバンテージを返せるか、自分側が如何にアドバンテージを取れるか、ということを考えなければならない。

パルシェンの例はわかりやすく、物理竜に後出しをすることで、パルシェンは削れるというディスアドバンテージを負うが、次のターン殻を破るなどによって大きなアドバンテージに繋げることが出来る。

後出しからこちら側に盤面を引き寄せるような切り返しの手段を考えなければ、いくらタイプ相性補完を意識したとしても実践の場においては役に立たないのである。

 

 

更に議論を進めると、タイプという漠然なものを意識するのではなく、具体的にどのようなポケモンの通りが良いのかを考察することが重要である。 全ポケモンで考えると限りが無いので、レートでの使用率の高いKP上位100位以内のポケモンに絞って、処理ルートと切り返し手段を考察するのが最も効率的である。

竜というタイプだけで考えれば、竜技を撃ってくるポケモンガブリアスからサザンドラまで非常に幅広いものになってしまう。タイプ相性補完だけを考えていると、相手の竜に対する引き先が1通りになりがちであり、想定する相手の多様性に対してワンパターンな回答にしかなりえない(そもそもガブリアスは受けれてもサザンドラを受けれるわけではないので、タイプ受けの概念が崩壊してしまっている)。そういう意味でも具体的なポケモンを想定し、引き先を用意するという考え方は重要である。

想定外のポケモンが来たらどうするんだ!という反論が飛んできそうだが、KP上位のポケモンへの回答が用意できているパーティならば、KPの低いポケモンに対してももともと用意していた回答を応用して対策出来ることが多い。

また、どのようにして処理を行うのかというのも重要になる。ガルーラを使って対面的に処理を行うのであれば、想定しているポケモンとガルーラとの対面をどのようにして作るのか。タイプ受け、数値受けから切り返しによる処理を行うのであれば、前者に比べて処理ルートを構成するのに思考の手間は省ける(対面構築を使えないという多くの人は、受け出し型の思考パターンの人であることがこれでわかると思う)。処理方法の種類は様々であるが、予め〇〇に対しては△△のように処理すると決めておけば試合中の立ち回りも非常に明確なものになる。構築段階での思考の深さが試合における立ち回りの精度に繋がる、ということがここまでの話で理論的に伝わるかと思う。

 

 

 

ここまでの話を纏めると、

☆パーティ6枠で相性補完を考えるのではなく、選出3枠で相手の処理を考える。

☆受け出しという行為を前提とする際、受け出しした後の切り返しの手段を構築段階でしっかり練る。

☆タイプという漠然なものではなく、具体的なポケモンへの対策を想定する

の3点が、レート環境を勝ち上がっていく上で重要である。

 

ここまで読んで頂ければ、基本選出という概念がいかに重要か分かって頂けるかと思う。

基本選出という概念で考えれば、自然に6枠ではなく、3枠で思考パターンを形成することが可能であり、3枠を使ってどのように切り返し、どのようにして自分の勝ちに持っていくかを事前にシミュレーションすることが出来る。

 

要するに、漠然とタイプ相性補完だけ考えて構築を組むのではなく、理論的に考察を繰り返し構築を組むのが意識という面で非常に重要なのだ。

 

強い人は今まで述べてきたような思考パターンを無意識下で行うことが出来る。それに対して知識の少ないプレイヤーはそれが出来ない。強くなるには強い人が無意識で行っていることを意識して行うことが必要だ。物事には段階がある。強い人の思考パターンを意識して模倣することを繰り返していくうちに、その思考パターンが自分の中に染み付き、実力の一部になる。漠然とプレイしているだけで一線級のプレイヤーになれるのは本当の天才しかいないのだ。

 

 

少し議論が飛躍したが、今回の記事で伝えたかったのは、タイプ相性補完『だけ』を意識するのではなく、更に先の段階まで考察することが大切だということ。

構築というのは、その人の強さの8割方を形成していると言っても過言ではない。今回の記事が皆さんの構築の考え方に何かしらの変化を与えることが出来たならば幸いである。